技術評価センター <CTA>

はじめに
 我が国産業は、戦後の米ソ冷戦の中で「欧米に追い着き・追い越せ」の掛け声の下に、高度経済成長期を駆け抜け、1970年代から80年代に生起した為替変動相場制移行や石油ショックも乗り切り、79年には米国で「ジャパン アズ ナンバーワン」を標題とする本が発刊されるに至りました。また、88年末には、世界の時価総額ランキング100社中51社が日本企業というように、他に類を見ない程の大きな成長を遂げたと言えます。この間に蓄えられた資金は、ロックフェラービルなど米国のシンボルを次々に買い占めたり、国内の不動産への投機に向けられました。やがてこのバブル経済は崩壊し、1990年から続く「失われた10年」を迎えることになりました。
 従来から事業法人や個人への投資や融資の判断材料には、資産および与信並びに事業計画が多くを占めていました。しかし、バブル崩壊後の金融不況の下では、新規創業や新技術への進出、あるいは、企業買収や合併などによる企業再生には、この判断の妥当性を従来よりも高めて、堅実な投資を行うことが求められるようになりました。このために保有技術や進出技術に対して、中立で高度な専門性をもった技術評価や鑑定を行うことが必要になりました。当協会では、このような背景の下で、1995 年に中小企業事業団はじめ、全国ベンチャー財団、地方自治体、日本原子力研究所、産業界、金融機関等のご理解、ご支援を戴き、技術評価・鑑定の業務を開始しました。この評価手法は、現在では大手調査会社にも取り入れられ、我が国のディファクト・スタンダードになって定着しています。
 現在のグローバル経済の下での競争に生き残るには、更に的確な融資・投資判断が必要です。

中立公正な技術評価のために
 技術評価結果は、評価の対象となる事業法人や個人、投資・融資を検討する企業や機関などの事業計画に大きな影響を与えます。このため技術評価機関は、評価者に高度な専門性を求めるだけではなく、評価対象者や融資機関などに対して中立と公正であることを求めなくてはなりません。また、関係者全員が守秘義務を果たすことが不可欠です。更に、これらを検証する手立ても講じておくことが必要です。
 当協会では、評価者として技術士や博士、中小企業診断士、経営士、建築士などの専門的知識と豊富な経験を持った個人会員を主体に、評価課題に適した人材を選任します。理系と文系の幅広い人材を抱え、広い分野を担当することができます。
 情報の秘匿性の確保については、「個人情報保護規則」を制定し、評価案件を本規則の対象としています。これに基づいて「技術評価等における顧客情報管理細則」を定め、評価案件を取り扱える者の制限や利用するパソコンのソフトウェアー環境、ネットワーク環境、情報の持ち運びの制限など、具体的な管理・作業手法を定めています。その状況と結果は、毎年度末に「顧客情報管理状況 監事報告」を作成し監事に提出、社内監査を受けています。
技術評価者の中立性と公正性の担保については、協会内部に常設の評価委員会を設け、評価案件ごとに評価者との意見交換をすることで、併せて、成果品の品質の向上に努めています。

技術評価情報センターの組織と役割
 技術評価情報センターは担当理事の下に、以下の1委員会と2室で構成され、これらがタイアップして蓄積した現場の生の情報を生かして、技術評価から事業実現までをワンストップ・ショップとして支援できる体制を持っています。

●技術情報調査企画室
技術情報の収集・整理・分析・評価、市場調査・整理・分析・評価、技術評価・事業評価
●事業基盤整備支援室
新技術・事業の事業化調査・分析・評価、知財化支援、マッチング・技術移転支援、公的助成の取得支援、販路開拓、 地域事業の運営体組織化支援など
●評価委員会(担当理事、他3名)
技術・事業評価/調査の公正性と秘密保持確保、事業推進支援における公正性と秘密保持確保などを通して業務品質のより高度化を図っています。

技術評価の分類
 CTAの「技術評価」は技術のステップごと、例えば、研究・開発、試作品、半製品・完成品、商品化などのほか、技術開発に伴う技術提携、各種市場調査・経営戦略等の段階などに行うことが可能なシステムとなっております。技術評価を目的とせずに事業支援を求められるケースでは、簡易評価に相当する技術評価を協会内部で行います。評価は表に示すように「フェーズ0」から「フェーズIII」までの4つのグレードで構成 されております。

項目 評価・調査内容 評価期間
フェーズ0 簡易評価 2〜3週間
フェーズI 技術力の概要評価 4〜6週間
フェーズII 実用化への課題抽出と調査 3〜6ヶ月間
フェーズII 戦略・企画立案 6ヶ月〜1年間

* フェーズ0は、
簡易評価で、提出された技術説明や事業概要・経営資料による調査・評価診断です。
* フェーズIは、
技術評価事前打診書等を基にした書類による調査・評価(診断)です。
* フェーズIIは、
依頼先企業と、調査・評価委員との定期的な連携の下に進めます。
* フェーズIIIに関しては、
フェーズI、同IIにて抽出された課題をクリアする具体策を構築しながら事業プランの具現化に向けてコンサルテーションを展開します。
 なお、本技術評価は、「技術評価」を依頼された企業に対する判断材料(=技術評価情報)を提供する中立的機関でありますので、投資・融資の成否に関する責任を負うものではありません。

分類の概要
 CTAの技術評価はフェーズ0、I のステップに「新規性、実現可能性、市場性」の各項目毎に評価点を下し、さらに、「A〜E」の5段階で診断結果を表記しています。 さらに、技術評価内容を基に各種市場調査並びに、経営戦略の立案企画、コンサルテーションを行っております。

フェーズ0=簡易評価
 新規性はじめ、実現可能性、市場性の各大項目を評価し、5段階での評価点を解りやすいレーダーチャートにて表記します。評価概要はフェーズIを参照ください。
フェーズI=詳細評価
 評価対象技術の新規性・優位性、市場ニーズ適合性及び、市場における技術の位置付け、市場規模概要などを記載されるほか、実用化の見通しと将来性を総合的に評価・診断いたします。具体的には、新規性では、1.技術の競争力、2.技術の優位性をポイントに審査します。特許により保護されているか、他社から知的所有権侵害のクレームの可能性、類似技術との競争力など。実現可能性は、1.技術の完成度、2.製品・商品化への課題克服を必要とするか、否かなどを判定します。市場性については、1.市場規模、いわゆる新技術と既存・類似製品の対象となる市場、用途開発など解説します。2.需要の安定性では、潜在的あるいは顕在化された需要動向を判断します。3.成長率は、対象技術(製品・商品等)を含めた市場の短中期的な成長率を予測します。このほか市場へ参入するにあったてのアドバイスがコメントされます。
フェーズII=事業化調査
 技術並びに技術関係を対象に各種調査、市場調査を実施し、市場参入を明確化します。
ここでの評価は、フェーズ0、I での技術評価結果を踏まえての実用化への課題抽出と前提条件調査を行います。費用と時間を効率的に行うことをお考えでしたら「技術評価と、市場調査」を組合わせての実施を提案しております。
これまでの具体例では、
1. 新技術(試作品から製品化、商品を対象とする)の市場投入を想定した各種市場調査。
2. 新技術を基にした技術提携、ライセンス契約等々の可能性調査。
3. 新技術を中心とした企業買収・合併(M&A)のための、技術評価プラス、調査。
フェーズIII=事業化支援
 新技術を中心にした事業化・企業化等々にむけての企画・戦略はじめ、マーケティング、コンサルテーションを実現します。

評価基準と診断結果
 CTAでは「新技術(応用開発を含む)」を資産評価と同位置である社会的基準軸とするにあたり、次のような基準と評価体制を設けて業務の推進を実施しております。
CTAが行う「技術評価」と、一般的な性能評価とは下記の基準で異なるといえます。CTAが行う技術評価は、具体的には次の各評価基準をもとに行っております。

  評価項目
新規性 技術の競争力、技術の優位性
実現可能性 技術の信頼性、技術の確立度
市場性 市場規模、需要の安定性、技術の寿命、市場の成長
総合所見

* 評価は新規性をはじめ、実現可能性、市場性の各項目を定量的に診断したもの を、総合所見にて定性的に審査しA〜Eを決定します。
* 3つの基準から総合的に審査したうえで、総合所見を下したものをさらに、 「技術評価委員会」で審議、評価を決定するものであります。
* 評価の診断結果は下記のように表記します。

表示 評価結果
新規性、実現可能性、市場性において極めて優れた技術である
新規性、実現可能性、市場性においてかなり優れた技術である
新規性、実現可能性、市場性のいずれかにおいて優れた技術である
新規性、実現可能性、市場性のいずれにおいても並みの技術である
新規性、実現可能性、市場性のいずれも並以下の技術である

技術評価の対象分野
 国内外を問わず日々、研究開発技術は高度化を究めるなか機械、素材など単一な技術の組合わせによる製品・商品開発が減少し、技術の複合化が進んでいることから評価技術については、下記の12分野を対象にしております。

分野名
エレクトロニクス
バイオテクノロジー
メカトロニクス
材料/素材
化学/薬品
情報通信
マルチメディア
ソフトウェア
エネルギー/資源/環境
10 建築/土木
11 交通・医学/医療
12 その他

問合せ先
(社)日本工業技術振興協会 技術評価センター(CTA)
  担当:奥住 メール cta@jttas.or.jp
  電話 03-3597-7888 FAX 03-3597-7889